イタリア旅行で世界遺産を訪れて勉強した経験をもとに、
徹底的にイタリアの世界遺産を通じて改めて歴史や文化を学ぼうと思い、制作しました。
バチカン市国は、国土が僅か0.44km2の世界最小国家で国全体が世界遺産として登録されています。
ここにはキリスト教の波乱の歴史があり、ローマ教皇が住み、またキリスト教芸術の宝庫にもなっています。
古代ローマでキリスト教が認められる以前の64年、12使徒ペトロが皇帝ネロから迫害され、十字架の刑に処せられました。
その場所は、現バチカンの、サン・ピエトロ大聖堂のある場所です。
324年には、ペトロの埋葬地に聖堂が建設されることになりました。
これが、現サン・ピエトロ大聖堂の前身になります。
やがてバチカンには教皇が住み始め、それを機にローマ・カトリックは急速に勢力を拡大していきました。
歴代ローマ教皇が1000年にわたり住み続けたのはローマのラテラーノ宮殿でしたが、カトリックの勢力拡大そのものはバチカンから始まったといえるのです。
1506年には現在のサン・ピエトロ大聖堂が着工し、1626年に竣工しました。
しかしこの時点で、バチカンはまだ独立国家にはなっていません。
1860年にイタリア王国が成立すると、バチカンとローマの関係は悪化したのですが、1929年に「ラテラーノ条約」が成立。
この時、ローマ教皇が全ての教皇領を放棄する代わりにバチカンは独立国家になることが認められました。
こうしてバチカンが独立を勝ち得たのは、1929年のことです。
ローマ・カトリック総本山・バチカンの中心的な建物は、サン・ピエトロ大聖堂です。
この大聖堂を語らずしてバチカンを語ることはできないと思います。
サン・ピエトロ大聖堂は、324年に建立されました。
しかし、これは現建物ではなく、もっと小規模なものであったようです。
現大聖堂の建設が始まったのは1506年のこと、教皇ユリウス2世の命により着工しました。
その建物が完成したのは、1626年のことです。
この大聖堂は、文字通りカトリック一の規模かつ世界の教会施設の中でも最も大きなものです。
建物内部の総面積は15,160m2で、聖堂内には6万人の収容が可能です。
建設期間はルネサンス期からバロック期にかかる時期で、その時代の著名な建築家や芸術家は、みなバチカンに結集して作業に当たりました。
そして、ルネサンス様式とバロック様式が見事に融合した神々しく素晴らしい聖堂が完成したのです。
歴代の主任建築士には、ラファエロ、ジュリオ・ロマーノ、ミケランジェロといった、私たちも良く知る中世の天才たちの顔ぶれがあります。
そして、聖堂の手前にあるサン・ピエトロ広場はバロックの巨匠・ベルニーニが担当し、聖堂の威厳ある姿を完璧に演出した空間づくりをしています。
サン・ピエトロ大聖堂周辺は、イタリアの天才芸術家たちの卓越した美の世界が集まった場所です。
バチカン市国は、サン・ピエトロ広場から入ると、まずサン・ピエトロ大聖堂の壮大さを目の当たりにします。
そして、それ以外にも複数の歴史的に重要な建物がありますが、その奥は庭園になっています。
しかもその庭園は、バチカン領土の1/3にもなるので、実はバチカンは緑豊かな国なのです。
バチカン内の世界的に有名な建築物は見学が可能になっているところも多いのですが、バチカン全てを見て回るには、特別なビザが必要です。
バチカン領土にある建物で、サン・ピエトロ以外に有名な建築物といえば、システィーナ礼拝堂とバチカン宮殿です。
システィーナ礼拝堂は、2013年の教皇選(コンクラーヴェ)の会場になっていたので、その名前に聞き覚えがある人は多いと思います。
礼拝堂内には、ミケランジェロの壮大で息をのむ美しさの天井画をはじめとして、キリスト教芸術の最高峰を随所に見ることができます。
バチカン宮殿は、歴代教皇の居住地で、現在もフランシスコ1世が暮らしています。
宮殿には、世界最大で部屋数1,400にもなる美術館「バチカン美術館」があります。
これらのあまりに膨大な数のキリスト教芸術を前に観光客は全て見て回れるかどうか不安になり、焦り、精神的病を発症させる人もいるそうです。
それくらい、バチカンにある芸術の数々は人々を圧倒してしまうのです。