イタリア旅行で世界遺産を訪れて勉強した経験をもとに、
徹底的にイタリアの世界遺産を通じて改めて歴史や文化を学ぼうと思い、制作しました。
ヴァル・ドルチャは、「オルチャ渓谷」という意味で、トスカーナ州シエナの南東部にあります。
渓谷の全域が自然芸術文化公園に指定されており、また世界遺産にも登録されています。
ヴァル・ドルチャのある地域は、14世紀にはシエナ共和国の領土でした。
当時、この渓谷付近は粘土質の農作物が育たない土壌でしたが、シエナはこの土地を約300年かけて改良しました。
その結果、ブドウやオリーブ、小麦畑などが連なる素晴らしい田園地帯になったのです。
また、糸杉の並木道がこの地域の景観を独特なものにしており、ヴァル・ドルチャが織り成す景色は、いつしか多くの人々を魅了するようになりました。
芸術家も例外なくその風景に感動し、ピエトロ・ロレンツェッティやジョヴァンニ・ディ・パオロなど多くの芸術家の作品にも影響を与えました。
300年の土地改良を経て、この地域では特にワインが特産品として知られるようになりました。
中でも「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」という銘柄はイタリアで「保証つき統制原産地呼称」の認定を受けた最初のワインで、現在では世界的に知られています。
近郊には、ローマ時代に重要な役割を果たしたカッシーナ街道や、中世にエルサレムとローマを結ぶ巡礼路になっていたフランチジェーナ街道などが通っており、沢山の人が行き交うところです。
その誰もが渓谷ののどかな風景を見て、心和んだに違いありません。