イタリア旅行で世界遺産を訪れて勉強した経験をもとに、
徹底的にイタリアの世界遺産を通じて改めて歴史や文化を学ぼうと思い、制作しました。
イタリア最北端のヴェネト州にある、通称「水の都」と呼ばれるヴェネツィアは、湿地帯に築かれた珍しい町です。
町を構成する島の数は118にもなります。
5世紀半ばに創建されたヴェネツィアは中世にかけて急速に発展し、大都市に名乗りをあげます。
町の起源は452年。
その当時、ゲルマン人の侵攻に押されたヴェネト州の住民たちが、潟の島々に逃げてきて、町を築いたのが始まりです。
697年に初代総督を選出し、「ヴェネツィア共和国」が誕生します。
827年には独立国家として名乗りをあげ、海洋国家として急速に力をつけていきました。
その後もイスラム諸国との交易で富を築いていき、13世紀までに都市としてのあらゆる機能が完成しました。
ヴェネツィアの繁栄はおよそ1000年にわたり続くことになり、16世紀には芸術活動が、17世紀には毛織物やガラスなどの手工業による経済活動が盛んになりました。
しかし1797年、ナポレオンが侵攻し、敗北したため、ついに国家は消滅します。
更に1866年にはイタリア王国に統合されたので、ヴェネツィアはイタリアの一都市という位置づけになります。
街には、繁栄を極めた当時の姿が今も残っています。
その街並みを見ると、いかにヴェネツィアが偉大な歴史を築き上げてきたかがよくわかります。
巨額を投じて築かれた建築群と水をたたえた景観が、何ともロマンティックなところです。
古代から近代にかけて圧倒的な力を持っていたヴェネツィア。
その市民たちの心を支えたのは、聖マルコの存在です。
9世紀前半に、ヴェネツィア共和国はマルコの遺構を入手し、それ以後、国の守護聖人として崇めてきました。
そして築いた聖堂が、サン・マルコ大聖堂です。
建立は828年で、1063年からおよそ400年かけて大幅に改築しました。
改築に際し、国は既に築いていた巨額の富を投じていて、その豪華な美しさには思わずため息が出ます。
外壁には鮮やかなモザイク画が施されており、正面扉の上には聖マルコ像がそびえています。
人々にとって、サン・マルコ大聖堂は自分たちのシンボルでもありました。
大聖堂があるのは、サン・マルコ広場です。
この広場は、ナポレオンが「世界で最も美しい広間」と賞賛した場所で、聖堂のほかにドゥカーレ宮殿(総督邸)を擁します。
ドゥカーレ宮殿もまた素晴らしい建物で、ヴェネツィア・ゴシックの最高峰と言われています。
外壁の白とピンクの模様が、とてもエレガントです。
中に入ると、部屋の壁や天井に隙間なく絵画が施されており、圧倒されます。
部屋そのものが、まさに一つの芸術作品です。
このように、サン・マルコ広場周辺には重要な建築群が集まっており、ヴェネツィアに行くなら必ず訪れるであろう場所なのですが、町そのものが非常に美しいので、しばし佇むだけでも素晴らしい時間になるに違いありません。