ヴィッラ・アドリアーナ

ヴィッラ・アドリアーナ(世界遺産登録:1999年)

ヴィッラ・アドリアーナは、ローマの五賢帝ハドリアヌスが築いた別荘の跡地で、ローマの東約30kmのところにあるティヴォリという都市にあります。

ティヴォリは古代ローマ時代から上流階級の保養地として広く知られた場所で、素晴らしい景観美が有名です。

ハドリアヌスがティヴォリにヴィッラ・アドリアーナを築いたのは、帝位に就いた翌年の118年頃と言われていて、133年頃に完成しました。

ハドリアヌスは、皇帝になってからギリシャ・ローマ帝国全土を視察し、皇帝時代の殆どを旅先で過ごしました。

そんな彼がローマに戻っていたのは僅かな時間で、その時に旅で疲れた体を癒すために築かれた別荘なのだと思います。

敷地面積は300haにもおよび、別荘だけがあるのではなく、そこには王宮、ギリシャ劇場、公共浴場、図書館など様々な施設がありました。

ハドリアヌスの死後、この別荘がどのように使われていたのかは、はっきりとはわかっていませんが、少なくとも3世紀頃までは改造が続けられていたようです。

15世紀には建築家ピッロ・リゴーリオが別荘の発掘を始めたので、当時の財宝は全て持ち去られました。

現在残っているのは古代ローマ時代の廃墟のみで、原型をとどめた建築物はありません。

しかしそこにある自然美もまた格別で、ヴィッラは廃墟といえど太陽のもとで現在でも当時のまま輝き続けています。

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